【初心者向け】サーバ構築とは?基礎から種類、構築手順までをわかりやすく解説
Webサイトの立ち上げやメールの送受信、社内でのファイル共有など、何か新しくサービスを立ち上げるときに必要となるのが「サーバ構築」です。
しかし、言葉としては聞き慣れていても具体的に何をすればいいのかイメージが沸かない方もいるのではないでしょうか。
ここではサーバ構築のイメージが掴めるよう、サーバ構築の基礎や手順についてわかりやすく解説します。
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- 1.サーバとは?
- 2.サーバを構築するには?
- 2.1.サーバ構築の手順
- 2.2.サーバ構築時に注意すべきポイント
- 2.2.1.利用用途に適切なサーバを選ぶ
- 2.2.2.セキュリティ対策を徹底する
- 2.2.3.安定性を考慮した運用設計をおこなう
- 2.2.3.1.サーバの異常をすぐに見つけられる仕組みを持つ
- 2.2.3.2.異常時のリスクに備える
- 2.2.4.外部委託も視野に入れて検討する
- 3.サーバの構築から監視運用まで、トータルサポートならエヌアイデイにご相談ください
- 4.まとめ
サーバとは?
サーバ構築の前に、そもそもサーバとは何かを簡単にご説明します。
サーバとは、ユーザー(クライアント)からの要求(リクエスト)に対し、ネットワークを通じて必要な処理をおこなうコンピュータやプログラムのことです。
サーバの種類は用途に応じて多岐にわたります。普段あまり意識することはありませんが、インターネットで調べ物をする時やメールを送受信する時は、裏で複数のサーバが連携してリクエストに応えています。
サーバの種類
サーバは広義的な「コンピュータとしてのサーバ」を指す場合と、狭義的な「用途別のソフトウェアとしてのサーバ」を指す場合、2つのケースが存在します。
前者はいわゆる「借りる」サーバを指し、「物理サーバ」と「仮想サーバ」の2種類に分類されます。後者はメールサーバやWebサーバなどの具体的なソフトウェアとしての用途を指します。
サーバについて詳しくもっと知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
あわせて読む>> サーバとは?基礎から種類まで初心者でもわかりやすく解説
サーバOSとは?
サーバを動作させるのに必要な「サーバOS」についても簡単にご説明します。
OS(Operating System)と聞くと、WindowsやMacなどのクライアントOSが浮かぶ方が多いかもしれません。コンピュータやスマートフォンにOSが使われるのと同じように、サーバにもサーバ専用のOSが使われます。
クライアントOSの場合は同時接続数が限られており、セキュリティや耐久性も個人利用向けですが、サーバOSは多数のパソコンの同時接続に応え、常に安定して稼働させることが可能です。オフィスなどの大人数が同時に接続する環境や24時間常時稼働が求められるような環境では、サーバOSが必須になります。
サーバOSの種類
サーバOSにもいくつか種類があります。流通している主なサーバOSをご紹介します。
Windows系
Windows系のサーバOSは、マイクロソフト社が展開しているサーバOSです。クライアントOSのWindowsと画面構成や操作方法が似ていますが、スペックや安定性が向上しておりサーバ向けに最適化されています。
パソコンのクライアントOSがWindowsの場合は親和性が高く、管理しやすく便利な一方、ユーザー数に応じてライセンス料が発生します。使いやすく便利な一面、コストがかかるサーバOSといえます。
UNIX系
UNIX系のサーバOSは「サーバOSの元祖」とよばれ、Windows系よりも初期からマルチユーザー、マルチタスクを備えるOSとして開発されました。世の中にはUNIXがベースになっているOSが数多く存在しており、例えばMac OSもその一つです。
安全性が高く、余計な機能が少ないため軽く低スペックでも動かしやすいのが特徴ですが、現在はライセンス契約となっておりサポート費用も有料です。
Windows系と違いコマンド操作が一般的なため、扱うには専門知識が必要となります。
Linux系
Linux系のサーバOSはUNIXの互換性を持つOSですが、オープンソースでライセンスフリーのため無料で利用できる点が特徴です。
UNIXを参考に作られており、オープンソースであることから開発業務にもよく使われ、世界中の技術者によって機能拡張を試みた多数のバージョンや派生形が世に出ています。それらはLinuxのディストリビューション(配布形式)と呼ばれ、無償で配布されているものから企業が製品として有償で販売している商用向けのものまで、提供形態はさまざまです。
世界的に普及しているOSですが、UNIX系同様コマンドを使った操作となるため専門知識が必要です。ちなみにLinuxはあくまで総称であり、Linuxという名前のOSがあるわけではないので注意が必要です。
サーバOSの選び方
代表的なサーバOSをご紹介しましたが、選ぶときに重要なのはあくまで「OS上で何をしたいか」です。利用したいアプリケーションとOSの相性が悪い……なんてことにあとでならないよう、何の機能を重視するのか、環境との相性はどうか、といった点をきちんと精査することをおすすめします。
また、使いやすさやサポートの有無、参考資料の多さなどもサーバ管理者のスキルに応じて考慮すべき点といえるでしょう。
サーバOSはサービスの提供事業者に依存してしまうケースも多いですが、IaaS型のクラウドサーバであれば必要に応じてOSを入れ替えることができ、自由度の高いカスタマイズが可能です。
クラウドサーバの種類については後述する「サーバ構築の手順」で解説しています。
サーバを構築するには?
サーバへの理解が深まったところで、サーバ構築の説明に移ります。
サーバ構築の手順
サーバやサービスによって設定や手順は異なります。
例えば、物理サーバの場合はサーバの手配や場所の確保、設置作業なども発生するため人手の確保や余裕をもったスケジューリングが必要になります。
今回は、導入までのスピードが速いクラウドサーバを取り上げて構築手順をご説明します。
クラウドサーバは用途によって下記の2種類に分類されます。
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PaaS(Platform as a Service)
OSやミドルウェアなどがあらかじめインストールされた、ソフトウェアやアプリケーション開発が可能な環境を利用できるサービス
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IaaS(Infrastructure as a Service)
CPU・ストレージ・メモリ・OSなどが自由に構成できる、基本的なインフラ部分を利用できるサービス
今回は、物理サーバと同等の機能を持ち、より汎用性の高いIaaS型クラウドサーバでの手順をメインにご説明します。
要件定義
要件定義はサーバの種類を問わず、構築だけでなく開発においても必須の工程です。具体的な作業に入る前にプロジェクトにおける要求をまとめ、有識者の目線から検証(取捨選択)し、システム要件として落とし込み作業範囲を明確にします。
サーバ構築の場合、この工程では構築するサーバに必要となるリソースの確認などを行います。 要求を整理し、利用用途や接続端末数に対応するために必要なリソースを洗い出します。
システム設計
要件定義した内容をもとに、要件を実現するための具体的な設計を行います。
洗い出したリソースをもとに、通信データの種類なども考慮しながら必要なOSやCPU、メモリ、ストレージを決めていきます。専用の物理サーバの場合はスペックに応じて買い切りとなりますが、クラウドサーバであればあとからでもリソースの増減が行えるのがメリットです。
必要なリソースが固まったらコストの概算を算出し、予算との照らし合わせも忘れずに実施しましょう。
構成図作成
関係者間での情報共有や改修の際の資料となる構成図もシステム設計のタイミングで作成します。構成図とは、システムの全体像をわかりやすく図で表したもので、設計図のようなイメージを持つとわかりやすいかと思います。
構成図にはいくつか種類があります。
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システム構成図
ハードウェアがどのような構成をしているかを表し、システムの機能を中心に記した図です。
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ネットワーク構成図
ネットワークを構成しているコンピュータやルーターなどの機器同士がどのように相接続しているかを記した図です。
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サーバ構成図
サーバの情報をまとめた構成図で、サーバの役割や配置場所などを記した図です。
ネットワーク構成図とサーバ構成図はまとめてインフラ構成図とも呼ばれ、新規でサーバを構築する際の重要な図表として扱うため、通信データの種類やサーバに接続する端末の情報まで漏れなく記載しましょう。
サーバ構築
設計が完了したら、クラウドサーバのコントロールパネルからリソースを設定していきます。
クラウドサーバの場合は物理的な購入・設置作業が不要で、クリックや数値入力程度の操作で設定が完了します。細かい設定方法はサービスによって異なるので、提供事業者の案内をご確認ください。
設定が完了したらクラウドサーバにログインして起動します。問題なく稼働していることが管理画面で確認できれば構築は完了です。
サーバ構築時に注意すべきポイント
続いてサーバ構築時に知っておきたい、注意すべきポイントをご紹介します。
利用用途に適切なサーバを選ぶ
まずはどのような目的、どのような用途でサーバを構築するのかをあらかじめ整理しておきましょう。
利用用途に応じてサーバに必要なスペックは変わります。最初の洗い出しが不十分だと、スペックが足りずサーバダウンしたり、逆に必要以上の無駄な費用が発生してしまうこともあります。
また、既存システムとの相性や、担当者のスキルレベルの観点でも考慮が必要です。利用用途や既存システムとの相性がよく、担当者が扱えるサーバを選ぶようにしましょう。
セキュリティ対策を徹底する
サーバは稼働してからが本番です。その際に重要なのがセキュリティ対策です。
特にお客様の個人情報を管理するような場合は、サイバー攻撃によって漏洩してしまうと企業存続に関わる大きな問題となります。リスクマネジメント対策を計画するとともに、アクセス制御やパスワードの複雑化などの基本的な対策と併せて、有料のセキュリティサービスも活用しましょう。
クラウドサーバの場合は提供会社がサーバの管理を担っているため、セキュリティ対策の品質やデータセンターの災害対策などをよく確認し、信頼できる提供会社を選定しましょう。
安定性を考慮した運用設計をおこなう
サーバは常に安定した稼働が求められます。運用設計も構築前に検討しておきましょう。
特にインフラの観点で注意したいポイントは下記の2点です。
サーバの異常をすぐに見つけられる仕組みを持つ
サーバに異常が発生した際、発見が遅れるのを防ぐためにもサーバの稼働状況を把握・分析してくれる監視ツールを活用しましょう。監視ツールは有料のものからオープンソースのものまで、さまざまな種類が提供されています。
社内で監視担当者を確保するのが難しい場合は、専門チームが24時間/365日の監視運用を担ってくれる代行サービスもご検討ください。
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異常時のリスクに備える
故障や災害によってサーバの稼働がストップしてしまうリスクに対しては、予備設備を準備しておく「冗長化」の検討も必要です。
ただし、サーバの並行稼働にはコストがかかるのと、内容によってはそこまで緊急度が高くないケースもあるかと思います。そういった場合は、まずはサーバの更新頻度に応じたこまめなバックアップから対策されることをおすすめします。
外部委託も視野に入れて検討する
前述してきたように、サーバ構築はどのようなサービスを提供するかによって考慮すべきポイントが変わり、会社として重要なサービスであるほどセキュリティ面の専門的な知識が求められます。加えて、構築後もサービスが続く限り運用業務が必要ですが、社内リソースだけでは一貫して担えないというケースも十分あるかと思います。
スキルやリソースに不安がある方は、専門知識を持った外部業者への委託も選択肢のひとつとして持っておくことをおすすめします。
サーバの構築から監視運用まで、トータルサポートならエヌアイデイにご相談ください
株式会社エヌアイデイでは、サーバの構築や監視運用に関するご相談を承っています。
システムインテグレーター(SIer)として、これまでに金融機関や航空会社、自治体、各種メーカーなどさまざまな業種のお客様のシステム構築・導入サポート、ネットワークやサーバの設計・構築、サーバ仮想化環境構築などITシステムの導入にまつわる業務を担ってまいりました。
オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなど、長年培った知識と経験による最適なご提案を行います。お気軽にご相談ください。
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まとめ
ここではサーバの基礎から構築の手順、構築時に考慮すべき点について、一通りご紹介してきました。実際の細かい手順や設定はサーバ事業者によって異なりますが、おおまかな流れやイメージが掴めていれば幸いです。
サーバ構築はサービスの基盤となる重要な作業です。サービス稼働後の運用まで見据えて、コストだけでなく安定性を重視した検討を心がけることをおすすめします。