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サーバの冗長化とは?二重化との違いやメリット・デメリットを解説

サーバの冗長化は、現代の企業活動やオンラインサービスにおいて、事業を止めないための重要な対策の一つです。サーバが停止してしまうとサービスの継続が困難になり、大きな損失やお客様の信頼低下を招くリスクがあります。そのようなリスクを回避し、不測の事態に対する備えとして、冗長化は適切な知識をもって検討すべき対策です。
ここでは、冗長化の基本概念から二重化との違い、具体的なメリット・デメリットを解説し、代表的なサーバ冗長構成の紹介までおこないます。

INDEX[非表示]

  1. 1.冗長化とは?
    1. 1.1.冗長化と二重化の違い
    2. 1.2.冗長化とミラーリングの違い
    3. 1.3.冗長化とバックアップの違い
  2. 2.サーバを冗長化するメリット
    1. 2.1.システム停止のリスクを最小限に抑えられる
    2. 2.2.BCP対策になる
    3. 2.3.サーバにかかる負担を分散できる
  3. 3.サーバを冗長化するデメリット
    1. 3.1.コストがかかる
    2. 3.2.運用保守の負担が増える
  4. 4.代表的なサーバ冗長化構成
    1. 4.1.アクティブ・スタンバイ構成
    2. 4.2.アクティブ・アクティブ構成
  5. 5.サーバの冗長化を検討すべきシステム
  6. 6.サーバの冗長化にはクラウドサービスがおすすめ
  7. 7.冗長化構成の事例
  8. 8.まとめ

冗長化に関するお悩み・ご相談はこちら


冗長化とは?

冗長化とは、主にシステムやネットワーク、データの可用性を高めるために、同じ機能を持つ予備装置を複数配置することを指します。これにより、メインの装置に障害が起きた場合でも、予備の装置を機能させることでサービスや業務を止めることなく復旧や対応ができ、影響を最小限に抑えることができます。
特にサーバの場合はトラブルが起こるとシステム全体の停止につながりかねないため、冗長化を検討する際はまずはサーバから、となる企業も多いです。

冗長化と二重化の違い

冗長化は予備装置を複数配置する手法であり、対象となる予備の数に指定はありませんが、二重化は予備装置を1つだけ用意した状態を指します。冗長化の一種といえますが、対象となる予備装置の数が決まっている点が異なります。
同様に、予備装置が2つであれば三重化、3つであれば四重化とも表現します。

冗長化とミラーリングの違い

ミラーリングとは、データの更新時にリアルタイムで別のストレージにもデータをコピーする手法です。データの保護と整合性を維持するために使用されます。重要なデータの内容が定期的にミラーリングされることで、物理的な障害や災害からデータを保護できます。
ミラーリングも冗長化の一種といえますが、ミラーリングが指すのはデータに関する部分のみの限定的な範囲となります。

冗長化とバックアップの違い

バックアップとは、定期的にデータをコピーし、異なる場所に保管することでデータの喪失を防ぐ手法です。データが完全に失われた場合でも、バックアップデータを使用して早期の復旧が可能となります。ただし、復元できるのはバックアップをとっていた時点までで、喪失した全データを復元できるわけではありません。
冗長化がシステムの継続的な稼働を保証し、サービス停止を防ぐために使われる手法なのに対し、バックアップはデータを失った際に復元するための手段であり、この2つは目的が異なります。


サーバを冗長化するメリット

サーバを冗長化するメリット

サーバを冗長化することで、不測の事態に対してもシステムの信頼性と可用性を向上させることができます。具体的なメリットを解説します。

システム停止のリスクを最小限に抑えられる

サーバを冗長化し万が一の事態に備えておくことで、トラブル発生時のシステム停止のリスクを防ぎ、業務影響や損失を最小限に抑えることができます。
例えば、金融機関のシステムでは取引の停止が重大な損失を招くため、冗長化をおこない24時間365日の稼働を確保しています。障害が起きても止まることのないサービスは信頼性も高く評価されます。

BCP対策になる

BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や感染症、システム障害などの緊急事態においても重要な事業を継続できるようにしておくための事業継続計画を指します。
サーバの冗長化は業務への影響や損失のリスクを抑えるだけでなく、BCP対策にもつながります。物理的に離れた遠隔地とサーバを冗長化することで、自然災害や大規模障害が発生した場合でも、遠隔地が無事であれば事業を継続できます。

サーバにかかる負担を分散できる

サーバを冗長化する際、予備のサーバにも処理を任せる構成にすることで、副次的な効果として負荷分散も実現できます。
例えば、ECサイトではアクセスが集中するセール期間中に一台のサーバだけが処理をおこなうと過負荷になり、応答速度が遅くなったりサイト自体(サーバ)がダウンしてしまうリスクがあります。予備サーバへ処理を分散できるようにしておけば、サーバダウンのリスクを回避できます。


サーバを冗長化するデメリット

サーバを冗長化するデメリット

サーバの冗長化は高い信頼性と可用性を実現する一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、主にコストと運用保守に関する問題点について解説します。

コストがかかる

冗長化構成を実現するには複数のサーバやネットワーク機器が必要になるため、初期導入費用と運用費用が増加します。具体的には、常に稼働しているサーバと待機サーバの二重購入やネットワーク機器の増設、さらには高性能なデータセンターの利用契約が求められるケースもあります。
高額なコストがかかるため、対象となるシステムの重要度と冗長化のメリット、コストをしっかりと比較検討することが重要です。

運用保守の負担が増える

サーバの冗長化は運用保守の負担が増えるというデメリットもあります。冗長化することで管理すべきサーバやシステムの数が増え、作業も複雑になるためです。おもにはシステムの定期的なメンテナンスやトラブルシューティング、セットアップや設定の作業工数が増加します。

冗長化にはこのようなデメリットも存在することを考慮し、実装を検討する際には運用コストやリソースの確保、保守管理体制の見直しをおこない、しっかりと計画を立てることが重要です。


代表的なサーバ冗長化構成

代表的なサーバ冗長化構成

サーバの冗長化構成を理解することは、システムの信頼性や可用性を向上させるうえで非常に重要です。ここでは、代表的なサーバの冗長化構成を紹介します。

アクティブ・スタンバイ構成

アクティブ・スタンバイ構成は、主要サーバ(アクティブ)と待機状態の予備サーバ(スタンバイ)を組み合わせた冗長化構成です。主要サーバに障害が発生した場合に待機中の予備サーバが代わりに稼働することで、サービスの継続性を確保します。
予備サーバの待機方法にはホットスタンバイとコールドスタンバイの2種類があります。


ホットスタンバイ

コールドスタンバイ

概要

待機中も予備サーバに電源を入れておく

待機中は予備サーバの電源を落とし、トラブル時に起動する

メリット

トラブル時にすぐに切り替えられる

待機中のコストを抑えられる

デメリット  

待機中もコストが発生する

トラブル時は準備が整うまでシステムを一時停止せざるをえない


アクティブ・アクティブ構成

アクティブ・アクティブ構成は、メインだけでなく予備サーバも常に稼働させる冗長化構成です。アクティブ・スタンバイ構成と異なり、待機中のサーバは存在しません。平常時は複数のサーバが負荷を分散しながら同時稼働し、いずれかのサーバにトラブルが発生した際はほかのサーバに処理を引き継いで稼働を続けます。
パフォーマンスが高い一方で、すべてのサーバが常時稼働するぶんコストも高くなるというデメリットもあります。


サーバの冗長化を検討すべきシステム

サーバの冗長化を検討すべきシステム

サーバの冗長化を検討すべきシステムは、業務において重要な役割を果たすシステムや稼働停止が許されないシステムです。これらのシステムは一時的な停止でも大きな業務影響をおよぼす可能性があるため、障害発生時のリスクを最小限に抑える必要があります。
具体例としては、金融機関のオンラインバンキングシステムなど、支払いに関連するものや、医療施設の電子カルテシステムなどがあげられます。これらのシステムは24時間365日稼働が要求されるため、冗長化が不可欠です。その他にもECサイトなど、サービス停止がビジネス損失に直結するようなシステムも冗長化を検討すべきでしょう。

このように、業務や収益に直結する重要なシステムにおいては冗長化を導入することが安定稼働のキーポイントとなります。技術的な設定や運用保守の負担はたしかに増加しますが、トータルでの効果を考慮すれば、冗長化は有意義な選択といえます。


サーバの冗長化にはクラウドサービスがおすすめ

サーバの冗長化にはクラウドサービスがおすすめ

これから新たにサーバの冗長化を検討する場合は、クラウドサービスの活用がおすすめです。
クラウドサービスであれば物理サーバを用意することなく、初期コストを抑えてスピーディに導入できます。物理的な制約がないぶんスケーラビリティが高く、しきい値を超えた際に自動でサーバ台数やスペックを増減してくれるオートスケールと呼ばれる機能もあります。
また、地理的に分散したデータセンターを利用することで災害時のリスクも低減できます。例えば、IaaS型のクラウドサービスとして有名なAWSやMicrosoft Azureは、リージョン間の自動フェイルオーバー機能を提供しており、何らかの障害が発生した際には自動で別のサーバに切り替わる仕組みを有しています。

このように、クラウドサービスの特性をうまく活用することで、サーバの冗長化を効率的かつ効果的に実現できます。


冗長化構成の事例

株式会社エヌアイデイがAWS環境で冗長化をおこなった事例をご紹介します。
お客様のECサイト基盤の老朽化とEOL(End of Service Life)に対応するため、基盤の再構築と、オンプレ環境からAWS環境へのクラウドマイグレーションをおこないました。
冗長化ソフトウェアのサポート終了により、データベースサーバの一部が冗長構成にできない課題や、WAFが設置できないなどのセキュリティ課題も抱えていましたが、基盤の再構築によって冗長化構成とWAF導入によるセキュリティ対策も実現しました。
また、AWSへの移行にあたり、今まではお客様自身でおこなわれていたシステム運用をエヌアイデイのリモート監視センターに切替え、24時間/365日運用の負荷軽減にも寄与しています。

>> AWS環境での冗長化事例の詳細はこちら


まとめ

まとめ

本記事ではサーバの冗長化について、その定義、二重化やバックアップとの違い、メリット・デメリット、そして代表的な冗長化構成まで広範囲にわたって解説しました。
サーバの冗長化を検討している場合は、具体的なシステム要件や業務内容に応じた詳細な冗長化プランを立案し、専門家と協力して実際の導入プロセスを進めることが推奨されます。
冗長化やネットワーク構成の見直しを検討している場合は、実績豊富なITベンダーへお気軽にご相談ください。

>> エヌアイデイの「システム構築サービス」について詳しくはこちら​​​​​​​

NID コラム編集部
NID コラム編集部
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